助産所の一日 vol.33

最強な台風が過ぎ去って、今日は抜けるような青空!
こんな日は、自転車通勤も気持ちいいです♪

今日は、私が昔勤めていた病院の同僚が1ヶ月健診で来所しました。
彼女は、私の長男を取り上げてくれた助産師サン。
(あの頃はお互いに若かった・・・)
もちろん、今も現役バリバリの助産師です。
彼女の2人目のお子さんの家庭出産をお手伝いさせていただきました。

彼女の旦那様は出産のときに
助産師のプライドにかけても安産しなくっちゃ〜」
なんておっしゃっていました。

そりゃそうだ、自分ができないことを他人にやりなさいって言っても説得力ないですものね?

いやいや!助産師でも、自分が出産のときには一人の産婦ですし!
半端なく痛いのも苦しいのも、同じですし!

とは言え、ちゃんときれいに赤ちゃんを産んだ彼女はエライです。
きれいなピンク色の赤ちゃんを取り上げた時には、本当に感動しました〜

あれから1か月。
赤ちゃんは母乳ですくすくと元気に大きくなり、彼女もすっかり体重も落ちてきれいなママに。
ニコニコと赤ちゃんを抱っこしてお話するママ。
こんなママと赤ちゃんに出会えて、幸せだな〜と思います♪

東京里帰りプロジェクト

全国的に暑い日が続きます・・・
いったい、いつが梅雨だったんでしょう?というくらい。
「梅雨が明けたら梅を干そう」と思っていたのですが、
いつでも干せそうですね・・・

東京里帰りプロジェクトhttp://www.satogaeri.org/
東京都助産師会も頑張っています。

これまでに、30組ほどの妊婦さんとそのご家族を受け入れたとのことです。

やはり、被災地から来られた妊婦さんのお話や状態を伺うと、
いかに妊婦さんにとって、規則正しい生活、お食事が大切で、ストレスや疲れが良くないか、
ということがよ〜く分かります。
すべて、出産、そして産後の母子の健康に関わってきます。

どうか、被災地の妊婦さんも含め、みなさんが元気な赤ちゃんを出産して、
大変な時もあるけれど、楽しく育児ができますように・・・

助産所の一日 vol.32

久しぶりの助産所日記です!
あれから、色々色々…ありましたねぇ!
まず東関東大震災。被災された方に、本当に心よりお見舞い申し上げます。
東京都でも、「東京里帰りプロジェクト」頑張っております!→公式HP: http://www.satogaeri.org/

それから、出産育児一時金も、今年度の4月より受取代理制度が再開しました。
直接支払制度よりも、早く助産所に入金されるので、ありがたいです。


そんなこんなで、今日は、朝から沐浴の訪問に行ってきました。
病院を退院してからの沐浴をしてほしい、という依頼がごくたま〜にあります。
昨日、お母さんが全身に蕁麻疹が出てしまった、ということで、皮膚科を受診されたのですが、
一応、かゆみ止めクリームを作って持って行ってみました。
家にあった、白色ワセリンとオリーブオイルを基材に、ラベンダー、ティートゥリー、ユーカリのアロマオイルをブレンドしてみました。
香りだけでも、かゆみが癒されると良いのですが…
赤ちゃんは元気ですくすくと大きくなっています!

そんな元気なかわいい赤ちゃんの沐浴は、こちらも癒されますね〜♪

助産師とは?−2−

助産師とは?」以前、私の考えを述べたのですが、(社)日本助産師会2006年5月作成「助産師の声明」を見つけましたので、抜粋してみました。
 助産師の定義
助産師】とは、法に定められた所定の課程を修了し、助産師国家試験に合格して、助産師籍に登録し、業務に従事するための免許を法的に取得した者である。
助産師は、女性の妊娠、分娩、産褥の各期において、自らの専門的な判断と技術に基づき必要なケア1)を行う。
すなわち助産師は、助産過程に基づき、分娩介助ならびに妊産褥婦および新生児・乳幼児のケアを行う。
これらのケアには予防的措置やいじょうの早期発見、医学的措置を得ることなど、必要に応じた救急処置の実施が含まれる。
さらに、助産師は母子のみならず、女性の生涯における性と生殖にかかわる健康相談や教育活動を通して家族や地域社会に広く貢献する。
その活動は育児やウイメンズ・ヘルスケア活動2)を包含する。
助産師は、診療所、助産所、市町村保健センター、自宅、教育・研究機関、行政機関、母子福祉施設、その他の助産業務を必要とするサービスの場で業務を行うことができる。

1) ケア:助産師が、その技である手技や言葉を用いて、利用者の心身の安全・快適さを保つために行う行為。
2) ウイメンズ・ヘルスケア活動:リプロダクティブヘルス/ライツの視点から見た女性のライフステージに対応した健康支援活動である。具体的には、思春期におけるケア、中高年におけるケア、リプロダクティブヘルスにおける活動が含まれる。〔家族計画、不妊の悩みをもつ女性へのケア、性感染症、月経障害、ドメスティック・バイオレンス(DV)等〕

助産所の一日vol.31

今日は、いいお天気になりました!
ベビーマッサージ教室がある日だったので、お出かけしやすい日で良かったです。

今日は、なんだか午前中から、めいっぱい予約が入っており、おっぱいのマッサージ、病院での健診の付き添い、助産所での健診などなど…
こういうとき、事務員さんの存在がとってもありがたいです〜
所長と二人で、手分けしてバタバタと働いております。
今やっと、おっぱいマッサージのキャンセルが1件出て、一息ついています。

そんな中、出産育児一時金の直接支払制度について、多くの医療機関の(病院も助産院も)経営が厳しくなる旨、区や国に陳情に所長が出かけています。
区や国の議員さんに会いに行くのって、すごく気疲れするみたいです。そりゃそうか。
妊婦さんにとっては、とても助かる制度だし、医療機関の方も、料金を確実にお支払いいただけるので、基本的には良い制度だと思うのですが…
何とかスムーズに導入できるように、医療機関への資金援助とか、せめて国保連から医療機関への支払いが出産後1週間とか? どうにか出来ないものなのでしょうか…
やっぱり、経営者って大変ですネ。国の制度に相当、振り回されます。

さてさて、ただいまお産待機中です。
予定日が過ぎた妊婦さんが陣痛が始まったようですし、予定日の近い妊婦さんもおしるしがあった方、前駆陣痛のようなものがきている方…
これから、お産ラッシュになるかも?しれません。
お産待機って、何だかドキドキワクワクしますよね…自分のお産もそうですけど。

みなさん、どうか無事に元気な赤ちゃんを産んでいただけますように…

妊娠中に行なう検査vol.11〜間接クームステスト

妊娠中に行う血液検査の一つに「間接クームステスト」という検査があります。
ちょっと、難しい話になりますが・・・
この検査は、妊婦さんの血液中に、不規則抗体という、ある赤血球抗原に対する抗体を持っていないかどうかを調べます。つまり、妊婦さんの抗体が赤ちゃんの赤血球を攻撃することがないかどうかを調べます。

一般に知られている血液型にABO型がありますね。赤血球にはA抗原、B抗原とういう抗原が生まれつき存在していて、血漿(清)中には、その人の赤血球に存在しない抗原に対する自然抗体(規則抗体)が存在します。
A型の人は抗B抗体があり、B型の人は抗A抗体があり、O型の人は抗A,抗B抗体の両方があり、AB型の人は抗Aも抗B抗体もない、これがABO型と言われる血液型です。

ABO型以外にも、血液型系として、Rh式血液型をはじめとして約30種類あり、もっと詳しく分類すれば400種余り(!)あるそうです。通常のRh式血液型の検査では最も抗原性の強い(抗体を作りやすい)D抗原を検査しRh陽性(+)、陰性(−)を判定しています。
これらの血液型抗原に対する抗体は、ほとんどの人が生まれつき持ってはいませんが、輸血や妊娠などで他の人の血液が体内に入ると、その血液に反応して抗体を新たに作ってしまうことがあります。これが不規則抗体です。
不規則抗体は生まれつき自然にもっている場合(IgM型)と、輸血や妊娠で免疫されて作られる)場合(IgG型)があり、その不規則抗体検出率は約0.15〜1.3%に認められます。このIgG抗体は、胎盤を通して赤ちゃんに移行します。
また、出産のときに、万が一輸血が必要になった場合にも、輸血した赤血球が不規則抗体によって破壊され副作用を起こす場合がありますので、間接クームステストを行います。ですから、妊娠中に前もって検査しておくと、よりスムーズに輸血することができます。

不規則抗体がある場合には…

不規則抗体がある場合はその抗体が、どの種類の血液型に反応するのかを詳しく調べる検査を行います。
Rh(D)マイナスの妊婦さんの場合には、抗体の産生を予防することのできる注射薬を出産後に打ちます。
Rh(D)プラスの妊婦さんの場合には、出産後に赤ちゃんの黄疸が少し強くなる程度で、特に問題にならないことがほとんどです。

万が一、赤ちゃん(胎児)の赤血球がママの不規則抗体に対応する抗原を持っている場合には、胎盤を通して赤ちゃんの体に入った不規則抗体が、赤ちゃんの赤血球が破壊し、赤ちゃんが貧血になってしまいます。

ですから、妊婦さんの不規則抗体の量を定期的に測り、抗体の量が多くなってきた場合には、羊水検査で羊水中のビリルビン値を調べるなど、赤ちゃんの貧血の度合いを調べます。赤ちゃんがある程度大きくなって、貧血がどうしようもなくなった場合は、早めに帝王切開で外に出してあげることもあります。

助産師として、いいお産のためにできること

「2時くらいから、陣痛が5分間隔くらいで来るようになって…」と奥さんに付き添って、疲労困憊といった様子のご主人。
「だんだん、また陣痛が強くなってきたんですね。私が腰をマッサージしますから、だんな様は少しお休みになってください。」
陣痛に合わせて腰をさすったり、押したり、産婦さんに「ゆっくり、優しく吐いて〜赤ちゃんに酸素をあげるよ〜」と声をかけたり、時々赤ちゃんの心拍を確認したり…
かれこれ、1時間半くらい付き添っていると、陣痛が3分おきくらいに来るようになってきました。ちょっとまだ発作時間が短いですが、少し進んだようです。
それから、また30分後、「いきみたい!」と産婦さんが叫びました。そこで内診すると、もう子宮口全開していて、赤ちゃんの頭もいい感じに降りてきて、すぐそこです。
「分娩室に行きましょう!頑張って歩いてね、そうすると、また赤ちゃんが降りてくるからね。」と陣痛の時に腰をさすったり、肛門のあたりを押さえたりしながら、お手伝いします。
たった10メートルくらいのことですが、分娩台に到着するころには、赤ちゃんの頭がのぞいてるかしら…?と思うくらい、なかなかベッドから降りるのが大変です。
ところが…陣痛室のドアを出ると、陣痛の合間にスタスタとびっくりするくらいスムーズに歩いて分娩室に歩いていきました。
分娩台に横になってもらって、肛門のあたりを押さえつつ、産婦さんに呼吸をしっかりするように声をかけつつ、CTGを着け、点滴を始めます。
医師も到着して、本格的にいきみはじめます。身長も高い方だし、赤ちゃんも普通の大きさだし、すぐに降りてくるかな〜
と思いきや、なかなか降りてきません。赤ちゃんの心拍は、陣痛室で心配したときよりも良いくらい、元気な状態です。
ご主人は、産婦さんの手を握ってもらったり、水分補給をしてもらったり、汗を拭いてもらったりしてもらいます。陣痛のときには、ぎゅ〜〜〜っっと手を握られ、「いたたた・・・!!」と悲鳴をあげていらっしゃいました。お産のときの力って、ものすごいですよね。
陣痛も1回1回が短いし、赤ちゃんの下がりも良くないし…座ってもらったり、立ってもらったりした方がいいかしら?と思いましたが、医師が吸引器(赤ちゃんの頭にカップをつけて引っ張る器械)で、吸引すると判断しました。
陣痛に合わせて引っ張るのですが、やっぱりなかなか降りてきません。少し、お腹の上から押してお手伝いをすると、やっと降りてきました。
あとは、産婦さんに上手にいきんでもらいながら、赤ちゃんが出てくるお手伝いをして、無事、元気な赤ちゃんが生まれました〜・・・良かった・・・
3キロくらいの、平均の大きさの赤ちゃんでしたが、臍帯が首と肩と腕と…3回ほどグルグルと巻きついていました。
ご主人は、感動して泣いていらっしゃいました。「立ち会いして良かった!本当に良かった!皆にぜひ立ち会いするべきだよ!って言ってやるよ。」とおっしゃっていました。
傷も、切開した傷だけで済みましたし、胎盤も無事に出て、出血もそれほど多くなくて、本当に良かったです。

母子ともに元気で本当に良かった、と思うのですが、私の中に何かがしこりになって残っていて、気になります。
なんだろう…助産師として、もっと、いいケアがしたかったのかな…そういうのって、結局、自己満足の世界なんでしょうけれど。
何かが引っかかっています。