助産師として、いいお産のためにできること

最近、助産師として色々と思い悩んでいるのですが、久しぶりに、ちょっとお産の体験談を書いてみようと思います。

先日、クリニックで初産婦さんのお産に立ち会いました。
ご主人と「これが最後かもしれないね」とデートをしていて、お昼御飯でも食べよう、という時に、バシャッと破水なさったそうです。
そのまま、クリニックに直行され、12時過ぎにご入院となったわけです。
来院された当初は、陣痛も始まったかな〜?という程度でした。
夕方5時に、私が受け持ちのご挨拶をしたときは、少し「ふーっ、ふーっ」と呼吸をしながら、痛みを静かに逃していらっしゃいましたが、その時点で子宮口は3〜4センチ。陣痛の間隔は6分おきくらいで、陣痛の強さ自体は弱い感じ。
笑ってお話しする余裕もあるくらいでしたし、「今日はお産にならないかもねぇ」と感じました。
夕御飯もしっかり半分くらい召しあがったということでしたけど、
夕食後に伺ったときには、つらそうなお顔で、呼吸法も「ゆっくりね、やさしくね」と声をかけないとできないくらいでした。
しばらく腰のマッサージをしてあげると、痛い場所はまだ高い位置で、う〜ん、やっぱりまだまだかなぁ、と思いました。
ご主人に、腰のマッサージの仕方をお教えして、ゆっくり呼吸するように声をかけてあげてくださいね、とお話ししました。
これで少し進みそう、と思ったのですが…
夜8時半、当直ドクターが診察にやってきました。「まだまだ、程遠いね〜」と…
所見は入院時から変わっていません。なんでだろう?臍帯巻絡かな、回施異常かな、なんて考えました。
破水していらっしゃるので、子宮内感染予防に、抗生剤の点滴の指示を出して「何かあったら、呼んで」と当直室に戻られました。
CTG(分娩監視装置)をつけてみると、陣痛のときに、少し赤ちゃんの心拍が落ちます。
臍帯が圧迫されてるのかもなぁ〜と思いながらも、様子をみていると、だんだん陣痛が弱くなって、赤ちゃんの心拍も落ちなくなってきました。
産婦さんがずっと左向きに横になって固まったままの姿勢でいたので「できるだけ、右向いたり左向いたり、座ったり歩いたり、動くと赤ちゃんが降りてくるのにちょうどいい位置を探しやすいですよ」
心配だったので、しばらくCTGを付けっぱなしにさせていただいて、そうこうしているうちに、夜8時前にご入院された経産婦さんが、あっという間にお産が進んで、10時半ごろに元気な赤ちゃんをご出産されました。
ちょっと羊水混濁があったけど、とっても安産で良かった〜、と一安心したところで、
また、初産婦さんの様子を見にいきました。
さっき、トイレに行ってきました、ということで、なんだか、陣痛は間隔も空いて遠のいたような感じです。
赤ちゃんの心拍も元気そうなので、一旦、CTGも外してしまいました。

それから、ちょこちょこ様子を見にいくものの、産婦さんの疲労感がつのるばかりで…弱くても、やっぱり陣痛のときには「痛い、痛い」と。
ご主人も、「この先の見通しは、どうなんでしょう?」とつらそうな奥さんを目の前にして不安なご様子です。奥さんにずっと付き添って、ご主人もお疲れのようなので、いったんお家に帰っては?とお勧めしてはみましたが、「とても帰れる状況じゃないです」と…奥さんも、ご主人に付き添ってほしいようでしたしね。

「赤ちゃんとお母さんの良い時に、陣痛が強くなりますから、今は陣痛の合間にしっかり休むことが大切ですよ。だんなさまも、一緒にウトウトしてくださいね。」

午前3時半、ナースコールに呼ばれて行ってみると、「もう耐えられない」と。

(続く)

いいお産って…?

今日は、昨日と打って変って良いお天気になりました!
今月は出産予定の妊婦さんが少なく、助産所も静かです…
巷ではインフルエンザが流行っているので、妊婦さんたちに、しっかりタンポポコーヒーなどの温かい飲み物をよく飲むように、とお話ししています。
そのおかげか?、うちの妊婦さんのお子さんがインフルエンザにかかった、という方はいらっしゃいましたが、ご本人がインフルエンザ発症した方は、まだいません。

さて、いよいよ明日から、出産育児一時金の直接支払制度が開始します!

今までは、出産育児一時金というのは、基本的には産婦さん(あるいはだんなさま)の入っている健康保険組合から、産婦さんに振り込まれる制度でした。
出産してから、病院・助産院や自治体の証明をもらって保険組合に申請するので、実際に振り込まれるまでに出産後1ケ月くらいかかっていました。
そうすると、病院や助産院への出産費用の支払いは、一旦、産婦さん本人に支払って頂くので、出産費用がどんどん値上がりしている現在では、家計への負担がかなり大きかったと思います。

とてもじゃないけど、家計から支払う余裕がない、という方のためには、「出産育児一時金の受け取り代理人制度」というものがあり、出産間近に健康保険組合で手続きすると、保険組合から出産した病院や助産院に直接振り込んでもらうこともできました。
また、出産育児一時金の貸付制度というものもあり、前借りできる制度もありました。

明日から導入される直接支払制度というのは、健康保険組合から、直接、出産した病院や助産院へお金が振り込まれる制度です。
これに伴って、出産育児一時金も38万円から42万円になりました。(健康保険組合によっては、もっと多いかもしれません)
これなら、家計の負担はずっと楽になりますね!(少子化も改善するかも?!)42万円を超えた分だけ、出産した病院・助産院に支払えばいいのです。
病院や助産院も、出産費用を払わずに逃げてしまう方が大分少なくなるでしょうから、大助かり!・・・のはずですが・・・

病院や助産院としては、導入し始めの2カ月間は、出産費用の収入がなくなってしまうので、経営が苦しくなります。
産科だけの医療機関は、特に「黒字倒産」なんてことも・・・いずれにしても、借金を負うことになるところも少なくありません。

そこで、厚生労働省から「原則開始するが、準備の間に合わない医療機関については、その旨掲示して、適用を最長6カ月間猶予する」との通知が出ました。
だから、病院や助産院によっては、出産育児一時金の直接支払制度を導入していません、というところもあるかもしれません。
そのような病院・助産院で、どうしても、直接支払制度を利用したい、という場合には、直接、その窓口へご相談していただければ、対応してくれると思います。

出産育児一時金の直接支払制度

今日は、しとしとと秋雨の降る肌寒い日になりました。
こんな日は、助産所も静かで落ち着いている感じがします。
お気に入りの入浴剤を入れて、半身浴しながら読書・・・なんてしたいですが、子どもが小さいうちは、お風呂タイムも遊びながら、ですよね。
最近は、私が手作り石けんにはまり出したので、石けんや香りも遊びの一つに加わりました〜

元気な赤ちゃんを産むために

「早く陣痛来ないかなぁ〜」
臨月に入ると妊婦さんたちは、こんな風に思う方が多いですよね。
いよいよお腹も大きくなってきて、自分の身体が重いし、腰や恥骨が痛くなってきたりするし、夜も寝苦しくてちょくちょく起きてしまうし…
赤ちゃんに早く出てきてほしい!と思う気持ちはよぉ〜くわかります。

また、出産予定日を過ぎる()と、かかりつけの産科医師が、誘発分娩(お薬などを使って陣痛を起こして出産に導く)の予定を入れることが多いので、陣痛促進剤などをできるだけ使いたくない、と思っている妊婦さんの中には、「早く産まなくっちゃ!」と焦る方もいらっしゃるでしょう。

赤ちゃんは、妊娠37週に入ってすぐに産むよりも、やはり予定日近くに生まれる子の方が、たくましいです。お腹の中での一日は、生まれ出てからの何日分にも相当するほど、赤ちゃんにとって貴重なものです。
しっかりと育ってから生まれてきてくれると、おっぱいも自分から力強く飲んでくれるし、体温の維持にもそんなに気を遣わなくても大丈夫だし、
なるべく元気でたくましい赤ちゃんを産んであげると、赤ちゃんも楽だし、ママも楽です。(ひいては、家族みんなが楽ちん!)

でも、予定日近くになってから、色々と焦っても遅いので、妊娠36週くらいから、出産に向けての身体づくりを強化していきます。(妊娠36週未満でお腹の張りやすい方は、早産になるといけないので止めてください。)

  • 早寝早起きをすること。

自然な陣痛のために、ホルモンのバランスを整えましょう!臨月にかかわらず、いつでも心がけておきたいことですね。
遅くても夜11時までには、布団に入りましょう。寝つきが悪いとか、ちょこちょこ夜中に起きてしまう、という場合にも、布団に入って休んでくださいね。
起きたついでにインターネットやテレビなどを見ないように…

  • 身体を冷やさないこと。(特に下半身)

今の季節、冷房でガンガン冷やしているところが多いですね。できるだけそういう場所を避けるか、着るものを工夫してください。
お家では、できるだけ風通しを良くするとか、扇風機でしのぐとか、冷房を入れるとしたら弱めにしましょう。少し汗をかくくらいがちょうどいいです。
身体が冷えていると、陣痛もなかなか来ないですよ〜

  • 1日に最低1時間以上は歩くこと。(半日でもいいですよ!)

よちよち歩いていては、身体づくりになりませんので、頑張って普通の人のペースに合わせて歩きましょう。お休みの日に旦那さまと一緒に歩くのもいいですね。あんまり疲れすぎないように、途中で水分補給や休憩を入れながら、歩いてください。動物園など、歩いて楽しいところにお出かけするのもGood!

  • お家の中の掃除をマメにすること。

掃除機やクイックルワイパーを使わずに、雑巾がけが一番効果アリです!
出産前に、お家の中をきれいにして、赤ちゃんを迎えてあげましょう。

  • 乳頭マッサージを始めること。

赤ちゃんが生まれたらおっぱいをあげたい方は、おっぱいも準備を始めます。
お風呂に入ったときに、自分の手の親指と人差し指で乳首を挟んで伸ばすようにマッサージをします。(よくわからない時は、かかりつけの産院で聞いてみてください)
乳カスが出てくるようだったら、やさしく取って、きれいにしておきましょう。

  • なるべくエレベーターを使わず、階段を昇り降りましょう。

なかなか赤ちゃんが降りてこない…方は、10階でも20階でも頑張って階段を使ってみましょう。

現代では、妊娠42週以降は過期産と言って、異常分娩になってしまいます。
というのも、人間の胎盤の寿命は、大体妊娠40週と決まっており、42週頃には胎盤が老化してしまい、赤ちゃんへの酸素や栄養を送る機能が果たせなくなるからです。

↓はお産の兆候についてです。
お産の始まりって、どんなものなんでしょう?→http://d.hatena.ne.jp/bunchan_k/20080119/1200680938

赤ちゃんのケアvol.2〜ベビーマッサージ

ここのところ、助産所の業務が忙しく…久しぶりの日記になってしまいました。

これまで、「ベビーマッサージっていいよ〜」と書いていましたが、よく考えたら具体的なことは書いていなかったようです。
そこで、今日は、ベビーマッサージについて。

1.  ベビーマッサージの目的

  • 赤ちゃんとのコミュニケーション(スキンシップ)
  • 赤ちゃんもママも気持良くなり、ストレス解消してリラックス♪
  • 病気の予防(新陳代謝を高めて免疫力UP!)
  • 体質改善(便秘、冷え性、肌が弱い、夜泣きなど)
  • 自律神経、抹消神経を刺激し、発達を促す。
  • オイルを使用することで、お肌の保湿ができる。
  • オイルを使用することで、雑菌からお肌をガードする。
  • 新生児(生後1カ月まで)は、なでるようにやさしくマッサージする程度に。
  • 何歳まででも、子どもがやってほしいうちはやってあげるのが理想的ですね!

2.  ベビーマッサージの注意点

  • 楽しくマッサージする。これが一番大事!
  • 空腹時や、授乳・食事の直後は避ける。(時間帯は、いつでもOKです)
  • 全身マッサージは、赤ちゃんにとって全身運動と同じくらい体力を消耗するので、20分間くらいまでにする。(1日1〜2回までにする)
  • オイルを使用する場合には、赤ちゃんのお肌から吸収されるので、天然の100%植物性オイルを使用する。(ホホバオイル、オリーブオイル、グレープシードオイル、スイートアーモンドオイルなどなど)
  • オイルを初めて使用するときには、パッチテストを行う。
  • オイルの代わりに、保湿剤などを使っても良い。

3.  ベビーマッサージの仕方

実際のマッサージの方法は、ベビーマッサージの本やDVDを見たり、ベビーマッサージの教室で教えてもらったりするといいですね。
もちろん、自己流でもいいと思いますよ〜
コツは、なるべく手のひら全体を使って(接する面積をできるだけ大きく)、ゆっくり歌でも歌いながら、楽しくマッサージすることです。

新生児のケアvol.4〜夜泣き

今日は、ママさん、パパさんの悩みの一つ、赤ちゃんの夜泣きについてです。
夜中に限らず、よく「おっぱいもあげたし、オムツも替えたし、お腹も張ってないみたいだし・・・何で泣いてるんでしょう?」と相談されることがあります。
新生児は特に、まだ生活のリズムが出来ていませんし、昼よりも夜のほうが頻繁に泣く子も多いですよね。
また、母乳の分泌を促すホルモンの働きは、昼間よりも夜の方が活発なので、赤ちゃんなりに、まだあまり出ないおっぱいを出そうと頑張っているのかなぁ、なんて思います。
新生児期は、まだママさんも新米ママさんのことが多いので、赤ちゃんがなかなか寝付かず、ぐずっていると「どうしたのかしら?」と心配する方も多いですし、ママさんも疲れてしまうようです。
私自身も、長男が赤ちゃんのときには、あまり泣かせないように、と、泣くたびに抱っこしたりおっぱいをくわえさせたりしていて、家事が手につかなかったような記憶があります。

そんな頃に、母に「あんたの弟は、1時間くらい泣かせておいてもあきらめずに泣いてたわよ。パワフルだったわぁ」というようなことを言われて
「ええ〜!赤ちゃんって、そんなに泣かせておいて大丈夫なの?」と衝撃を受けました。
一昔前は、泣くのは赤ちゃんの仕事、泣くたびに抱っこすると、抱き癖がつく、などとも言いました。
(現代は、ちゃんと抱っこしてあげると、赤ちゃんとの信頼関係ができるので、むしろ抱っこしてあげましょう、と言います。)
今になって思えば、初めての赤ちゃんだから、それくらい頑張って良かったなぁ、と思いますし、そうやって一生懸命育てたから、今の息子との絆(?)があるのかなぁ、と思います。

赤ちゃんは、毎回ベビーベッドで一人でスヤスヤと寝てくれる・・・というわけにいきません。(そういう子ももちろんいますが)
やっぱり、ママさんが添い寝したり、抱っこしたままの方が、安心してよく寝てくれます。だから、私は赤ちゃんを抱っこしたまま、クッションに寄りかかって寝たり、赤ちゃんを胸の上にうつぶせに寝かせて一緒に寝ていました。私は、これが結構好きです、赤ちゃんの感触とか体温が心地よくて。

新生児は特に、おっぱいをちょこちょこ飲みする子が多いですよね。おっぱいを飲むのって、赤ちゃんにとってはすごく体力のいることなんですね。
くいっ、くいっと、ちょっと飲んだな、と思ったら、ウトウト・・・でも、お布団におろしてすばらくするとまた、「ふぎゃぁ〜」と。
「オムツ替えたり、ちょこちょこおっぱいを飲んだりして、気づくと1時間くらいかかってるんですよね」なんてママさんも多いと思います。

でも安心してください!授乳中のママさんは、短時間の(10分でも)細切れ睡眠でも身体がついていけるようなホルモンが出ていますので、ちゃんと、赤ちゃんと一緒にちょこちょこお昼寝すれば、睡眠不足で倒れる心配はいりません。
同じことをパパさんやおばあちゃんがやっていたら、倒れます。家事や買い物なんかは、どんどんお手伝いしてもらって、夜の赤ちゃんのお世話は、ママさんが頑張りましょう♪