妊娠中に行なう検査vol.3〜出生前診断

出生前診断とは?

赤ちゃんが生まれるまえに、赤ちゃんの病気の有無や状態を調べる検査で、現代は色々あります。

  1. 画像診断法(X線,超音波,MRI)・・・超音波での検査は、ほとんど全ての妊婦さんが妊婦健診中に受けています。
  2. 胎児から細胞を採取して検査する方法(羊水,絨毛,臍帯血)・・・妊婦さんの希望があるときに行ないます。
  3. 母体血を使用して検査する方法(クアトロテスト)・・・Down症・18-trisomy・無脳症・開放性神経管児などの限られた疾患のスクリーニングに使用されています。(確定診断はできません。)
  4. 胎児鏡を用いる方法
  5. 体外受精した受精卵の1細胞を用いる方法(着床前診断)・・・体外受精をする方に限ります。

出生前診断を受けたほうがいい?

出生前診断を受けた方がいいのかどうか?」と相談されることがありますが、日本ではまだまだ専門の遺伝カウンセラーが少なく、きちんと相談する場が少ないのが現状です。
もし、パパ・ママが染色体異常の保因者であるとか、上のお子さんが染色体異常を持っている、などのリスクがなければ、超音波以外の検査はあまり積極的にお勧めできません。
なぜかというと、一つは、検査もそれなりのリスクを伴うからです。例えば、羊水検査後の流産の割合は200回に1回くらい(0.5%)です。また、羊水検査の後の子宮内感染といった重篤な合併症も 0.1〜1.0% とされています。絨毛検査の場合は、羊水検査よりも流産の確率が高くなるとされています。
二つ目は、検査結果で異常がなかったとしても、障害児が生まれる可能性はゼロにはなりません。検査で分かる疾患は、限られていたり、羊水検査やクアトロテストの結果は「ダウン症児の生まれる確率が1/300未満で、陰性です。」と、あくまで確率での結果だったりします。
三つ目は、もし陽性の結果が出た場合に、どうするかをきちんと自己決定することが必要になります。そこのところをよく考えて、パパとママで話し合ってから、検査を受けていただければいいと思います。