妊娠中の放射線被爆について

時々、「妊娠に気づく前に、レントゲンの検査を受けたんですが、赤ちゃんへの影響は・・・?」と心配される妊婦さんがいらっしゃいます。そこで、現在のところ、分かっている範囲のことを載せてみました。

妊娠中に放射線被爆した場合の赤ちゃんへの影響は、

  1. 奇形や中枢神経障害、
  2. 発ガン性、
  3. 遺伝的影響

の三つが問題となりますが、被爆時期と被爆線量によって異なります。

  • 被爆した時期については、最終月経だけではなく、超音波での計測値や妊娠反応陽性時期などから判断します。
  • 受精後10日までの被爆では、受精卵を死亡させ、流産を起こす可能性がありますが、流産せずに生き残った胎芽は完全に修復されて奇形を残すことはない、とされています。
  • 受精後11〜妊娠8週での赤ちゃん(胎児)への被爆は、奇形を発生する可能性がありますが、診断目的(検査)での放射線は通常50mGy以下の線量で、閾値(100mGy以上)よりも相当小さく、妊娠に気づかず誤って放射線治療を受けた場合や原発事故など特殊な場合を除いて、赤ちゃんへの影響は小さいと考えられています。
  • 妊娠10〜27週では、中枢神経障害(精神発育遅滞など)を起こす可能性があるが、これも、100mGy未満では影響しないとされています。
  • 赤ちゃん(胎児)が放射線被爆を受けた場合に、小児癌の発症頻度がわずかに上がりますが、一人一人の赤ちゃんにとっての発ガンのリスクは、0.3〜0.4%と極めて低い頻度です。
  • 放射線被爆による、ヒト遺伝子変異が不都合を起こした事例は、まだ確認されていません。

・・・と、要約すると、妊婦さんが通常のレントゲン撮影やCT検査などを受けても、赤ちゃんへの影響はほとんど心配ありません、と言うことですね。
やっぱり、心配で気になって仕方がない!という方は、かかりつけの産科医に相談してみましょう。
あまり気に病まず、安心して楽しいマタニティ・ライフを送りましょう♪