妊娠中に行なう検査vol.9〜羊水過多と診断されたら…?

羊水過多というのは、赤ちゃんの袋の中を満たしている羊水の量が、平均よりも多いということを言います。
羊水は、羊膜から分泌されており、これに、だんだんと赤ちゃんのおしっこも加わります(妊娠12週くらいから)。赤ちゃんは、羊水を飲んで、おしっこをします。

妊娠時期によって、量が変化し、また個人差も多いです。妊娠32週頃に最大量となり、お産が近づくとに少しずつ減っていきます。正常量は妊娠末期で100〜500mlくらいです。羊水が500ml以上だと推定される場合は羊水過多、100ml以下と想定される場合は羊水過少、といいます。

羊水量は直接測ることができないので、超音波断層法(エコー)で、AFIとか、羊水ポケットという測定法を用いて診断します。
AFIなら24cmまたは25cm以上、羊水ポケットなら8cm以上を羊水過多と診断することが多いです。見た目も、妊娠週数に比べて大きなお腹になります。
明らかな羊水過多である場合には、赤ちゃんに何らかの原因があることを想定して、さらに詳しい検査が必要になります。
原因としては

  • 赤ちゃんが羊水を飲む力が低い;消化管閉鎖、筋原性疾患、神経性疾患、胎児水腫、染色体異常、口唇口蓋裂など
  • 赤ちゃんのオシッコが過剰に作られてしまう;双胎間輸血症候群、胎児貧血、胎盤血管腫など
  • 母体糖尿病
  • 多胎妊娠

などがありますが、およそ6割は原因がはっきりしないとされています。
また、経過をみているうちに自然軽快する場合もあります。

治療法としては、原因疾患が分かり、その治療が可能であれば、治療していきます。
もちろん、赤ちゃんが生まれてから、治療を必要とする場合もあります。
重症羊水過多の場合、必要ならば、羊水穿刺といって、お腹に長い注射針を刺して、羊水を抜く治療をすることもあります。

妊娠中に行なう検査vol.2〜羊水の量 http://d.hatena.ne.jp/bunchan_k/20080405/1207368505
も参考にしてください。